1985年から設計事務所をはじめて、300軒近く仕事をしていると、必ずメンテナンスが普通に発生してきます。車だって2~3年に1度は重点的に検査しますが、建物は静的なものです。動きませんが、自然素材の「木の住まい」も10年を節目にメンテナンスをしてゆかなければ、50年(半世紀)はもちこたえないように思うのです。
2001年4月に竣工したT邸。先日、「白蟻がでました!どこか信頼ある白蟻業者を紹介してほしい」との電話があり、今回白蟻業者と大工も連れて現地にゆきました。 住宅の中に入りましたが、30mmの天井板・柱・梁材とも美しすぎます。(最上のものです。) 今も光り輝いています。 この住宅は、奈良研の室生森林組合から樹齢70年以上の赤身の杉を直接購入し、土台は能登ヒバ、基礎のパッキンはクリ、そしてJパネル・Dボルトを使用する現在のMsの仕様です。このころから、そとん壁という外壁の左官材を使用しています。9年以上経っていてもきちんと庇が大きく伸びている壁は、プロテクトされているのです。 (どんなに耐久性のある壁材でも環境条件が全てです。) この5月・6月が白蟻が活発に行動する季節です。この住まい、パーキングに枕木を敷き詰めています。 まず、ここが白蟻のごちそうになってしまいました。9年も経ってくると広葉樹の枕木も一部がぼろぼろとなり、腐っていました。その一部分が白蟻の巣となり、この様子です。 (イエシロアリです。) カーポートの引戸、玄関の引き戸と同様に木の建具でよく今も使用します。この住まい手の引き戸の表面材は内地カラ松(長野)。耐水性もよく表面は腐ってはいませんが、下端の小口から雨水がよくあたるので、一部ぼろぼろ状態。戸車のあたる所が腐食して埋木をしなおして、再利用です。10年近い修理をすると、メンテナンスでよく勉強になります。 反省も含めて、耐久性という言葉と図面の内容をどこまで具体的に近づけるかがポイントです。 南面に隣家がせまっているので、タテ格子を全面的に南面からバルコニーごしにもちだした格子。これも室生森林組合の杉赤味で常に軒下で空気にさらされているので、年経っても大丈夫です。ところどころ黒カビが点々とついているだけで、このカビはアルコールでふけばすぐとれます。 浴室はコウヤマキの木風呂です。この部分に白アリがよっています。 床下点検口がなかったので、物入の奥をやぶってみたら、床下が浸水状態です。土間コンクリートから2cmくらいに水がたまっていて、床下の炭袋がボトボト状態です。 今の施工、お風呂はユニットバスか現場でつくる時、防水をほどこすのですが、9年前はまだMsその技術になっていませんでした。 じゃあどこの家でももれているのと問われれば、すべての家の浴槽の部分でもれています。影響がないのは、かつての住まいといえば(現在も布基礎だけの家も多いですが)土間コンクリートなんか絶対うっていません。すこしずつもれた水は土の中にしめってゆき、いずれまた乾くという繰り返しです。(布基礎のみですから) 蟻道がみえます。土台がヒバです。クリパッキンも問題ありません。 処理として、浴室側カベに防水し、念のため穴を土間にあけておくことにします。
by msarch2
| 2009-05-27 17:45
| メンテナンス
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