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赤杉の家上棟しました!
先月プレカットの打合せを行った和泉の家、改め「赤杉の家(智頭杉の赤味がとてもきれいなので)が上棟しました。施工はコアー建築工房さん。いつもお願いしているので、工事も手馴れたものです。

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赤杉の家は構造的に少々工夫をしています。プランは北から南に片流れの屋根を葺き、南向きのLDは大きな吹抜け空間となっています。1階LDKを広くオープンに使いたいという住まい手の要望で、2階床面の下に耐力壁がありません。その代わり、4寸×8寸(12cm×24cm)の偏平柱、尺一寸(33cm)の成の梁を使い、それらをDボルト2本使いで緊結し、フレームを組んでいます。足元もホールダウン金物(HDC-25・30/カナイ)の2個使いでがっちり固めています。

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梁と柱の納まりを2階床面から見るとこんな感じです。

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Dボルトの座金がふたつ入っていますね。また、2階床梁の天端両側がそれぞれしゃくってあります。これは何のためか?

1階の柱、梁が組みあがると2階の床板(Jパネル)を設置していきます。大工さんがJパネルを一枚ずつ運んでいき・・・(梁の上を軽々と運んでいますがJパネル1枚30kg弱あるのです。職人さんは本当にすごいです)

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そして先ほどの梁しゃくりに床板のJパネルを落とし込んでいきます。

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①ん?Jパネルが入らないな                ②その場でカット!                      ③すっぽり納まりました


手間はかかりますがこうやって床板を落とし込み梁で固めることにより、水平構面がより強くなります。


建て方2日目は、屋根の垂木を掛けていきます。4寸角の赤味の杉が@606でリズムよく並びます。室内から美しい天井が望めます。それにしても美しい材です。青空によく映えます!

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午後からは屋根野地のJパネル張り。

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Jパネルのいいところはやはり構造面材でありながら、仕上げ材になるというところです。Jパネルの床倍率は3.0倍(四周釘打ちの場合)。長期優良住宅の仕様にもぴったりな建材です。「赤杉の家」も長期優良先導事業に該当する物件です。


無事棟が上がり、日を改め住まい手さんに上棟式を開いて頂きました。

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コアー建築工房さんの上棟式ではいつも「槌打ちの儀」が行われます。

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コアー建築工房 千原氏の良く通る声で「千歳棟~!万歳棟~!(せんざいとう・まんざいとう)」の掛け声。全員で「永永棟~!(えいえいとう)」。そして大工さんが木槌を振り棟木を締め固めます。「トーン!トン!」という木槌の音が遠くまで響き渡り気持ちがすっと晴れ渡る儀式。「千歳棟。万歳棟。永永棟」呼んで字のごとく、いつまでもこの家が何事もなく、家族が幸せでいられますようにという願いが込められています。


上棟式も終わりかけた頃、住まい手のお子さんから棟梁へお手紙が!!

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「だいくさんへ ぼくのおうちをおねがいします」 と書いてあります。このサプライズに普段は強面(とても優しい方です)の棟梁の目じりも下がりきっていました。小さな子供も自分たち家族が暮らす家ができることを心待ちにしているのですね。春にはおちびさんたちが走り回る大らかな木の住まいが無事できあがるよう、設計者、施工者とも気を引き締めて工事にかかりたいと思います。

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by MSARCH2 | 2010-11-29 21:12 | 新築
和歌山 田辺ツアー
11月6・7日秋晴れのもと、
MOKスクール恒例の秋のフィールドツアーへ行ってきました。
総勢20名程で、和歌山は田辺へ向かいます。

一日目は、山長商店さんの植林地→貯木場→工場と、木の動きに沿っての見学です。
山長商店さんの山は紀伊半島南部に約5000haも占めています。
その山の木を植林から育成、伐採、製材、乾燥、仕上・強度検査、選別、プレカットに至るまでの全ての工程を一貫して提供しているのです。

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全ての根本となる山の管理をされているのが松本さん。
松本さんの説明は、パネルや材を使って丁寧で非常に分かりやすくスクール生に好評でした。
95%以上が個人所有であるという和歌山の山の特徴によって良材が生まれた、
と松本さんはおっしゃっていました。
山持ちさんが互いに切磋琢磨した結果なのでしょうか。

b0111223_18581775.jpgもちろん、近くには奈良吉野にも良材があります。
ただ、それぞれの特徴が異なるのです。
樽丸林業を起点に発達してきた奈良の吉野では
密林(10,000本/ha)による緻密な年輪を持つ材が、
一方の田辺では建築用材としての材が必要とされました。
そのため、田辺の材は(5,500本/ha)芯に近い部分では少し年輪の間隔が開いて、外側では密な年輪となるのです。
目的に応じた結果が各地の材の特徴を生んでいるのです。


b0111223_18592665.jpgさて、今回の田辺の山の中でも〝住み分け〟が行われています。
「適地適木(てきちてきぼく)」
これは木々の育成のしやすさによって、
例えば杉は水分の多い山の裾や谷に、一方山の上方には桧を植えるという
山の人たちが基本としている言葉です。
山側の「適地適木」があってはじめて
工務店・設計者の「適材適所」が成立するのです。


b0111223_1903141.jpg木には〝腹〟と〝背〟があるのをご存知でしょうか。
斜面に立つ木は、光を求めて開けた方向(写真右側)に枝を伸ばす傾向があります。
そして地面と立木(足元)との関係に注目すると、鉛直方向まっすぐではなく、
少し膨らんでから上へと伸びているのが分かります。
これは、材としてまっすぐっでないために良材ではない、とされるかもしれないですが全くの逆なのです。
横架材(梁)を考えた時に、腹の部分を下、背の部分を上にすることで粘り強くなります。
必然的に室内から梁を見上げた時に節の少ない面が腹となって、
力学的にも美学的にも理にかなっているのです!


b0111223_191740.jpg青空のもと、木々に囲まれてお昼を食べた後は貯木場へ向かいます。


b0111223_1915471.jpgここでは元玉と、2番玉以降のものに分けられて長さごとに管理されています。
見学している間にも次々と丸太が運ばれてきます。
年間30,000㎥の原木の出入りが行われているのです。
さすが年間700~800棟の物件に対応されている山長さんです!。


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山から運ばれてきて、
トラックの荷台に積まれた丸太を土場に〝置く〟作業を見ることができました。
まず丸太を〝置く〟スペース横にトラックをつけます。
そしてチェーンやつっかえを外して
運転手さんが反対側からチェーンを引くと、
トラックを傾けて丸太は一気に定位置に納まりました。
迫力のある、なんとも原始的な手法に圧倒されながら次の目的地へ向かいます。


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次は山長商店の榎本さん(常務取締役)に説明していただきながらの工場見学です。
最新のシステムが稼働しています。

b0111223_1935581.jpgまずは、減圧式乾燥機。
この乾燥機では機内の圧力を最大0.2気圧まで減圧することができるそうです。
減圧することで水の沸点を下げて従来よりも低い温度(70数℃)での乾燥か可能になります。
これにより、①表面・内部割れの減少②白味部分が茶色くならない、といった利点があるのです。
この減圧乾燥機1機で50㎥(実際には桟を入れる為45㎥程度、柱で900本くらい)の材が一度に乾燥可能です。


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次は、徹底された品質管理です。
ここではヤング係数と含水率を測定しています。
基準値に満たない材はレーンから外されます。
リアルタイムに測定結果が機械表示され、材自体に印字されます。
写真の材はプレカットも済み梱包されて納品待ちのものですが、
「SD20 E90以上」の数字が印字されているのが分かります。
含水率20%、ヤング係数90以上といった情報が全ての材に対して表記されます。
ちなみに写真右手に見えている水色と白色のテープは、物件ごとに組み合わせを変えて、積み下ろしの際に認識しやすくするために全ての梱包に付けられています。
さて、ここで測定された結果は選別の工程で重要となります。
例えば、ヤング係数90と110の材があったとします。
基準値を90以上としているなら、この2つの材は対等のものとして扱うことが可能ですが、山長商店さんでは違います。
より荷重のかかる1階柱にヤング係数110の材を、屋根荷重のみで比較的荷重の少ない2階柱にはヤング係数90の材を選別するのです。
簡単にはまねできない細やかな対応です!


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一日目の夜には山長商店の榎本社長、榎本常務、社員さんと和歌山の建築家 中村伸吾さんを交えての交流会が行われました。
日中の見学の場とはまた異なった交流・意見交換ができ有意義なものとなりました。

日が変わって2日目は、
榎本社長宅(設計:渡辺明氏)を社長自ら説明していただき見学させていただきました。
(個人住宅のため写真掲載は控えさせていただきます。)

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その後は語り部さんの説明を聞きながら、短距離ではありましたが熊野古道を堪能し、熊野本宮大社へ参拝、熊野本宮館の見学を行いました。
ここでも榎本社長が展示の地図を前に木材のルートを説明下さいました。

榎本社長、榎本常務はじめ、社員の方々、松本さんのご協力のもと非常に有意義な2日間となりました。
ありがとうございました。


今年度のMOKスークールは12月の講義を残すのみとなりましたが、
来年度のフィールドツアーも現在計画中です。
講義では伝わりきらないものがフィールドツアーにはあります。
みなさんにも是非山の声を、工場の声を、お聞きいただきたと思います。

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by MsARCH2 | 2010-11-09 08:09 | MOKスクール